積ん読解消月間(10)『ヴィゴツキー入門』
- 作者: 柴田義松
- 出版社/メーカー: 子どもの未来社
- 発売日: 2006/03
- メディア: 新書
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青学の香川先生に教えてもらったヴィゴツキー。
『心理学界のモーツァルト』だそうです。
ピアジェと同じ年にうまれながら30過ぎで夭折するまで、天才的かつ精力的な活動をしたそうです。
いちばん有名なのが『発達の最近接領域』の理論。
今日ひとと一緒にできたことは、明日ひとりで出来るようになる可能性がある。その可能性の領域を見極め、梯子をかけてやることが教育者の役割である。
大人の学びにもすごくそういうことってあるなぁと思います。
これまで興味がなくて、わたしは児童の知的発達の理論について書いたものをほとんど初めて読んだのですが、実験などによって明らかにされる子供の認知や学習のしくみっておもしろいなぁと思いました。
生活から自然に学ぶことと、体系からしか学べないことがある。とか
今の好みに合うこと受け入れやすいことに合わせることや、ただ経験に任せることでは学べないことがある。とか
(異論反論があるのかどうかも知らないのであまり書きませんが。)
芸術心理学というのもおもしろくて、美的なものの鑑賞や美的感覚から学習するものはなにか、という議論が痛快でした。
感情の同調や高揚そのものでなく、それを乗り越える、克服する経験こそが学びである。
芸術の鑑賞の仕方、美的なものを読み取る方法の教育の重要性を訴えたというのも、発達の最近接領域の理論と繋がる考え方なのでしょうね。
彼がそうした関心や知識を活かす領域として、障害児教育を選んだのも興味深くて、障害児の発達の最近接領域を広げる環境づくりを考えたようです。
いろいろ解釈が乱暴だったり間違っているかもしれませんが、かなり面白かったです!