積ん読解消月間(34)『仕事人と組織』
- 作者: 太田肇
- 出版社/メーカー: 有斐閣
- 発売日: 1999/04
- メディア: 単行本
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組織内キャリアにモチベートされる「組織人」
仕事に軸足をおいてやりがいや生き方を選ぶ「仕事人」
従来の組織には「組織人」向けの処遇や動機づけしかビルトインされていない。
「仕事人」のモチベーションや満足とパフォーマンスを高め、それを組織に還元するにはこれまでと異なる思想での組織デザインが必要であるということを、学術的な検証方法を用いながら説いた良書です。
「仕事人」にもタイプがあることを明示しつつ、それぞれの「市場」を経由することで、仕事人としてのキャリア形成や満足を満たしつつ、組織への還元もしくみとして組み入れていく「インフラ型組織」を筆者は提唱します。
組織内でガチに交換関係を均衡させるのではなく、それぞれの仕事の価値を決める市場を経由した報酬や評価、処遇の体系を築くことで個人と組織の利害を均衡させようという発想が素晴らしいと思います。
組織にも個人にもある種の緊張関係がもたらされるわけですが、みなさんは組織内に限定される圧力とどちらを選びますか?
またワークライフバランス的な観点も、ワークvsライフではなく、組織人vs仕事人の構図に組み入れたところにとても好感が持てます。
企業も社員に「キャリア自律」を求め始めていますが、そのときには本書で提唱されるような、個人の仕事人としてのキャリア形成のインフラとなる覚悟も同時に決めてもらわなくてはならないと感じます。