『30代のしごと考~組織のワクを越えて、something newを生み出す』開催報告(後編)-ワクを越えるコツ、something newのコツ-
前編では、30代の意味、研究者の仕事を題材にする意味をかみしめた話を書きました。
後編ではワークショップでの議論から、組織のワクを越える覚悟とコツ、something newを生み出す覚悟とコツ、について私が気づいたことを書きます。
■組織のワクを越える覚悟とコツ
組織のワクがあるから、仕事が前に進む。集団で仕事ができる。
これは紛れもない事実で、会社を辞めたからといって、なんらかの稼ぐ仕組みやひとと協働することから逃れきることはできません。
ワクにはパワーがあります。
そしてそのパワーそのものは、ポジティブなものでもネガティブなものでもありません。
組織のワクは、個人のキャリアにある程度の見通しをつけ、意思決定や価値観の拠り所にもなります。
そういう見通しや拠り所が完全に取り払われた世界を想像してみてください。
そのすべてが組織からもたらされる必要はありませんが、確かに助けられてはいるはずです。
一方で、そのワクは、個人の仕事やキャリアの軸を必ずしも保証してくれるレールではないし、思考や価値観の幅を狭めることもあります。
安心と窮屈は同居しています。
そんなワクを越えるために、私が感じた覚悟とコツは、
組織のワクの両面性を理解すること。
そして自分がそこに多かれ少なかれ依存していることを自覚すること。
つまり、そのワクを選んでいるのは、もっと言えばワクづくりに加担しているのは自分自身だということを認める覚悟です。
加えて、組織というもののチカラを理解する経験と知性です。
そしておそらく「ワクを越える」コツは、自分自身が変化の種となることです。
今回のテーマが「something newを生み出す」とセットだったことは単なる直観でしたが、偶然でもなかったのかもしれません。
孤独を大切にして自分の軸を育てつつ、本質を深められる仲間をつくっていくことです。
■something newを生み出す覚悟とコツ
something newにはどうも大雑把に2種類あるようです。
ひとつは、その存在や発見への道筋は見えているけれど、巨大な資本や新しい技術が要るなど手法上の困難さが主な理由でまだ発見されていないもの。
この種類のsomething newの発見者になるには、は資本力や政治力やスピードが重要です。
もうひとつは、アイデア勝負のsomething new。その存在さえ怪しいもの。
このタイプのsomething new を追いかける覚悟は
孤独を大切にする覚悟
すぐに見通しのつかない自分を「待つ」覚悟
ワクを越えて自ら仲間を見つけに行く覚悟
そういったものだと感じました。
その不安な道のりの出発点で。
それが本当に取り組みたいテーマなのかどうか、知る価値のあるものかどうか、そのことをどうやって知ればいいでしょうか?
『すぐにはわからない。自分をだまして少し先に進んでみる。そして違うと知って戻る。その繰り返しかな。』
との答えでした。
自分を「待てる」ように、待ちつつ「行動できる」ようになりたいと思いました。
■理想像のチカラ
組織のワクから抜け出す。
なりたい自分や為したい成果を待つ。
その価値を感じつつ、それが難しく感じられる理由のひとつはもちろんsomething newそのものが得体がしれないものだからということがありますが、もうひとつ、「良い状態」が描けないことがあるかなと思いました。
いい気分の組織。
いい気分の仕事。
いい気分のキャリア。
いま自分が不満に囚われているな、と思うときには、外にでて深呼吸をして、「いい気分」を記憶するのがいいと思います。
自分自身が経験するのもいいし、経験している他人と知り合うのもいい。本を読むことで経験や思考を追体験するのもいい。
そして追いかけたいテーマがおぼろげに見えたら、思い切って深く潜ってみる。
それぞれのワクを越えて、something new のヒントを探しに行きましょう^^
報告は以上です。
私自身の研究テーマとも非常に近しいですし、今後も何かの形で継続的に考えていきたいと思っています。