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『Secure Base』 #親キャリ シーズン2第4回開催報告

親になった私たちのためのキャリア勉強会。略して 親キャリ。

親になっても自分らしくいい仕事がしたい。

3か月に一度、自分のことを考える時間。

年4回で開催してきた2年目の最終回でした。一年間ありがとうございました。

 

今日のテーマは、『チャレンジのためのSecure Base』でした。

私自身不安定なチャレンジの渦中(汗)ということもあって、深く考えさせられるテーマでした。

今回のレポートはその分ちょっと長くなります。

 

■Secure Base とは

Secure Baseとは発達心理学の用語で『心の安全基地』と言われるもので、有名どころでは児童精神科医のボウルビイ(1988)などによって提唱された概念のようです。

Wikipediaによると

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E5%85%A8%E5%9F%BA%E5%9C%B0

・安全基地の存在を感じると好奇心が外に向けられる

・危険を感じた時の心の拠り所

・安心や自信を身に着けていくことを支援するもの

・内的な安全基地を築くことで自立していける

・児童の愛着行動のみならず人間のパーソナリティの発達を説明する重要な概念の一部

 

■「1mm」にとってのSecure Base

「1mm」の得意を自分で信じ、伸ばして、オリジナルのキャリア/専門性としていくとき、Secure Baseがそれを助けてくれる理由。

 

それは自ら旗を立てて、自己を試すこと、試されることを含んでいるから。

そして自己概念、アイデンティティを変化させることをも含んでいるから。

その変化の良い面が目に見えて感じられるまでにはタイムラグがあり、自分の選んだ道を疑ったり後悔したり迷ったりする時間がたっぷりあるから。

 

安心でも安全でもない道のりを行くことになる。だからこそ Secure Baseの支えがあることによって前に進んでいけるんだなぁと思いました。

自分の選んだ道や、その道を選んだ自分を信頼できる、いまここにいることに安心できるための拠り所。

みなさんにとってはどのようなものですか?

 

私自身にとっては、「重要な他者」と「正当性」がキーワードだなと思いました。

信頼を寄せる人たちと一緒に見ることのできる未来が私にとってのSecure Baseです。

 

■Driving Force ほんものと思える気持ち

また、「1mm」を伸ばしていく Driving Force となるような、自分の心からわきあがる「好き」「願い」を知っていることも、大きな意味ではSecure Baseだと思いました。

 

自分自身でいることが楽しいと思えるような瞬間。

つい没頭してしまったり、心からよかったなぁと喜べるような瞬間。

それを自分がせずにはいられないという気持ちになること。

 

たとえば趣味の合唱で、これまで一緒につくりあげてきたみんなの声が合わさって音楽になる瞬間。

災害や社会的困難を前にして、職業的な技術や価値観をつかって自分たちにこそできることがある、と感じること。

そういう自分にとってほんものと感じられるような気持ちを、本業で開放できるように、味わえるようにしていくことが、「1mm」の本質かもしれないとも感じています。

 

■相手のこころに口座を開き、入金する

こうしたことを考える勉強会の構成として、今回はさえきちさんに、ご自身がSecure Baseについての考えを巡らせるようになったきっかけとなった企業ブランド構築についての講義をシェアしていただきました。

とても興味深く、思考を拡げ深めてくれるものでした。インフルエンザをおして準備してくれたさえさんに深謝・多謝です。自分にとって大切なものを、場に出して試すというチャレンジをしてくれて本当にありがとう^^

 

・相手の心に「口座」を開き、そこにいい経験を「入金」し続ける

・そのときに安心感をもってもらえていることが前提になる

・しなくてもいいことを、圧倒的にやる

・喩えるなら自分にとって大切なひとを驚かせ喜ばせるようなことを

・「らしさ」を伝えるには、組織全員がそれを信じていること

 

さえさんご自身も考察してくださったように、企業のブランド構築戦略として語られたこの考え方は組織レベルだけでなくて、個人レベルにも、社会や国家のレベルでも語れるものがあるフレームだなぁと思いました。

 

「1mm」に寄せれば、自分ブランディング!のようなことはこのような、相手の心に口座を開いて入金し続けるような、丁寧で地道なコミュニケーションがその本質であり、誰にでも積み重ねていけるものである、と言えると思いました。

そして自分の存在が相手にとって異質であるほど、相手にとってのSecure Baseをあわせて提供しなければならない。異質な驚きを遠ざけようとする人は、Secure Baseを感じられない場所で恐れを抱えているのかもしれません

旗を立てて自分をアピールする、と表現すると身構えてしまうようなときも、「大切な誰かの心に口座を開いてもらって入金する」と考えれば気持ちが違いますね^^

 

■親キャリの場というSecure Baseについて

複数の方から、この親キャリの場はSecure Baseだね、と言っていただきました。

とてもうれしかったですし、私自身にとってもSecure Baseだなと思っています^^

 

お互いがそれぞれにとって大切なチャレンジをしていると信じられるから。

同じような恐れを心にもっていることを知っているから。

何を話しても笑ってもらえて応援してもらえると思えるから。

いろんな役割を引き受ける前の、自分自身、を確かめる場所だから。

 

そんな場にしたいと思いますし、参加してくれる素敵なみなさんのおかげでそうなっていることに有難さと感謝のきもちです。いつも。

 

そういう場をホールドするということはどういうことか、そのために何が必要か、をこの一年はずっと考えてきました。

今回気が付いたことは、私自身の職業的な価値観や能力を安心して注げる場であることが自分にとって、そしておそらく場にとっても重要であること。それと同時に、私自身も含めて参加してくれる全員が、同じ立場で学び合う仲間であると感じられることが同じくらい重要であること。です。

 

具体的に言えば前者は、ただ顔を合わせる機会を設けるだけでなくて、それぞれに語る意味や持ち帰るお土産があるようにテーマ設定や運営や構成を工夫する、という私の職業的な価値観や能力をこの場に使い続けること。

そして私はこの能力を、自分の1mmを伸ばした専門性の一つとして自分自身で認めて大切にしていきたい。参加するみなさんにも認めてもらって大切にされたい。専門職でありたいということ。

 

後者は、参加してくれるみなさんと共に学びたいということ。みなさんが場づくりのためにボランタリーに提供してくれる能力や労力や気持ちを、ありがたく素直に受け取れる場でありたいということです。

 

シーズン3はこの2つのバランスを、より意識していきたいと思います。

みなさんの参画する場、ご自身を表現したり試したりする場を増やしつつ、私自身の専門性で学びの場としてのクオリティを保つこと、その対価をいただくことに挑戦します。

私自身が自分の「1mm」に自信がもてていなかったんですね。でも試すこと、背伸びをすることでしか大切にできないものもあると、気づきました。

今日、背中を押してくださったみなさんに心から感謝しています。みなさんのことが大好きです^^