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積ん読解消月間(14)『シンクロニシティ』 #Ureading

 

シンクロニシティ[増補改訂版]――未来をつくるリーダーシップ

シンクロニシティ[増補改訂版]――未来をつくるリーダーシップ

 

 『U理論』の出発点となった(でいいのかな?)、ジョセフ・ジャウォースキーさん自身のリーダーシップの旅。

U理論への結実をさかのぼること15年(でいいのかな?)。サーバントリーダーシップに触発されて、志高く、未来から行動するリーダーを育成する世界的なネットワークをつくりあげる。その過程で体験した不思議なシンクロニシティと、そのソースの存在を探求する物語。

ジョセフ自身が体験するUの体験に何度か涙しました。昨年U理論で自身のUの旅に思いを馳せた経験がなかったら、そんな風には感じられなかったかもしれません。

 

『リーダーシップとは、つまりは人間の可能性を解き放つということだ。』

このリーダーシップ観がとてもすてきだなと思いました。 

U理論で目指しているコレクティブリーダーシップにも最初に踊り出すリーダーは必要で、その人の在り方はきっとこういう意味でのサーバントリーダーシップなんだろうな。

そう、U理論のリーダーシップ論としての大きな投げかけは「在り方 being」なんですよね。

 

ジョセフがシェルグループで手掛けた大きな仕事である、シナリオプランニングの経験も本書の重要なコンテンツなのですが、これはすごくいいですね。

そういえば『ワーク・シフト』も、2つのシナリオからどちらの未来を選ぶ行動をとるか?を問う形式でした。

シナリオプランニングは、共感知のプロセスにもなるし、それが集団で共有できるほど質の高いプロセスになれば、一人ひとりが出現する未来を自ら選び創ることにもつながっていくと感じました。

(経営の意思決定を引き出す必要があるような大きな新商品開発なども、収支計画だけじゃなくてシナリオ的な企画書を書くといいのかもしれないなとふと。)

 

ディビッド・ボームやフランシスコ・ヴァレラなどと出会い、現象学的、社会構築主義的(という表現でいいのかな?)な世界観を表現する言葉や理論があることを知ることによって前進していく様子も、スリリングでよかったです。脱線しますが学問を修める喜びというのはこういうところにありますね。

『ヴァレラたちの研究の中心的な洞察は/認知とは、「そこに」ある世界を表現するものではなく、むしろ「生きるという過程そのものを通して世界を提案すること」である』

『言葉は、神経系のための、もう一組の目であり手だ。/われわれは世界をつくりつつ、そのなかを歩いているのだ』 フランシスコ・ヴァレラ(生物学者・認知科学者)

 

ひとは言語によって世界をとらえる。言語には価値観や文脈が宿っているし、言語を介した相互作用でわたしたちの行動が変わっていく。言語や、行動や、習慣が世界である。言語が変われば世界は変わる。

ジョセフはそのような世界観を知って、自分が変われば世界は変わる・変えられるものになる、という確信に至ったのですね。

 

『われわれは、われわれが見ているものになる』ディーン・ブラウン(物理学者)

『意味を変えることはあり方を変えることだ』デイビッド・ボーム(物理学者)

 

物理学や生物学の知見が、社会科学や経営学的な領域に大きな影響を及ぼすというのは、もしかしたら当たり前?なのかもしれませんが、深淵だなと思います。

(ヴァレラのオートポイエーシス理論は、ルーマンの社会システム理論に援用されていたりするらしいですし、このあたりもうちょっと知ってみたいような、怖いような。)

 

U理論――過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出す技術

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ワーク・シフト (孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>)

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ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉

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